手指がつる原因は?突然の痛みへの対処法と繰り返すときの受診目安
何気なくスマートフォンを操作しているときや、ペンを握っている最中に、突然指がぎゅっと曲がって動かしにくくなった経験はありませんか。
「指が勝手に曲がって戻らない」
「手のひらまで引っ張られるように痛い」
このような状態は、一般的に「手指がつる」と表現されています。
手指がつると、驚いて無理やり指を伸ばしたくなるかもしれません。しかし、指だけに問題が起きているとは限らず、手のひらや前腕にある筋肉の緊張が関係している場合もあると言われています。
まずは、手指がつるときに体の中で何が起きているのか、似た症状との違いも含めて見ていきましょう。
目次
手指がつるとは?突然指が動かしにくくなる仕組み
手指が「つる」とは筋肉が急に収縮した状態
手指がつるとは、指を動かす筋肉が自分の意思とは関係なく急に縮み、力が抜けにくくなった状態を指します。
筋肉のけいれんは「筋肉がつる」とも表現され、健康な人にも起こることがあると言われています。手指に起きた場合は、指が内側へ曲がったまま戻しにくくなったり、手のひらに突っ張るような痛みを感じたりすることがあります。
「動かそうと思っているのに、指が言うことを聞かない」という感覚になる方もいるでしょう。
筋肉は、縮んだり緩んだりすることで関節を動かしています。ところが、何らかのきっかけで筋肉の収縮と弛緩のバランスが乱れると、一時的に縮んだ状態が続くことがあるとされています。
参考記事でも、指がつる症状について、筋肉が突然緊張して自由に動かしにくくなる状態と説明されています。足の指についての記事ですが、筋肉が急に収縮するという基本的な考え方は、手指がつる場合にも共通する部分があります。
ただし、手指がつる原因は一つではありません。手の使いすぎ、水分や電解質の状態、冷えなど、複数の条件が重なって起こる場合もあると言われています。
引用元:MSDマニュアル「筋肉のけいれん」
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/09-脳-脊髄-末梢神経の病気/脳-脊髄-末梢神経の病気の症状/筋肉のけいれん
引用元:薮下整骨院「足の指がつる原因は何?症状の原因と予防法を紹介」
指を動かす筋肉は手のひらや前腕にもある
「指がつっているのだから、指の筋肉だけが縮んでいるのでは?」
そう思う方も多いかもしれません。実際には、指を動かす筋肉の多くは、指そのものだけでなく、手のひらや前腕にも広がっています。
指を曲げるときには、主に手のひら側から前腕にかけて存在する筋肉が働きます。一方、指を伸ばす動きには、手の甲側から前腕にある筋肉が関わると言われています。
これらの筋肉から伸びる腱が手首を通り、指の骨につながることで、指を曲げたり伸ばしたりできる仕組みです。そのため、指に突っ張りを感じていても、負担の中心が手のひらや前腕にある場合も考えられます。
たとえば、長時間パソコンのキーボードを打ったり、スマートフォンを片手で持ち続けたりすると、同じ筋肉を繰り返し使うことになります。
料理で包丁を握る、重い荷物を持つ、工具を使うといった動作でも、手指から前腕まで力が入り続けるでしょう。このような作業の後に手指がつる場合は、指だけではなく、手のひらや前腕の疲れにも目を向けることが大切だと言われています。
「指を少し休ませたのに、なぜまたつるのだろう」と感じるときは、腕全体に負担が残っていないか振り返ってみてください。
引用元:中外製薬「筋肉|からだとくすりのはなし」
https://www.chugai-pharm.co.jp/ptn/medicine/karada/karada020.html
手指のつりと、しびれ・こわばりとの違い
手指が動かしにくい症状には、つり以外にも「しびれ」や「こわばり」があります。似ているように感じますが、それぞれ現れ方には違いがあると言われています。
手指がつった場合は、筋肉が急に縮み、指が意図しない方向へ曲がったり、強く引っ張られるような痛みが出たりすることがあります。多くは突然起こり、しばらくすると筋肉の緊張が落ち着いていく傾向があります。
一方、しびれは「ピリピリする」「ジンジンする」「触った感覚が鈍い」といった感覚の変化として現れることが多いと言われています。日本整形外科学会では、手指のしびれを生じる病気にはさまざまなものがあり、神経が圧迫される場所などによって症状の出る範囲が異なると説明しています。
こわばりは、指が固まったように感じ、曲げ伸ばしを始めにくい状態です。特に朝起きた直後などに、「手を握ろうとしても動かしづらい」と感じる方もいるでしょう。
もちろん、つり・しびれ・こわばりが同時に現れることもあります。自分では「つっただけ」と思っていても、しびれが長く残る、感覚が鈍い、細かな物をつまみにくいといった変化がある場合は、筋肉のけいれんとは別の状態も考えられると言われています。
症状が出た時間、続いた長さ、痛みやしびれの有無を覚えておくと、状態を整理しやすくなります。
引用元:日本整形外科学会「しびれ(病気によるもの)」
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/paralysis.html
ばね指など別の症状と見分けるポイント
手指が急に動かしにくくなったとしても、必ずしも筋肉がつっているとは限りません。代表的なものとして挙げられるのが「ばね指」です。
ばね指は、指を曲げる腱と、それを支える腱鞘の間で炎症が起き、腱の動きが滑らかではなくなる状態だと言われています。指の付け根に痛みや腫れが現れやすく、曲げた指を伸ばそうとしたときに引っかかり、急にカクンと伸びる「ばね現象」が特徴とされています。
「指が曲がる」という点では手指のつりと似ていますが、症状の現れ方は同じではありません。
手指のつりは、筋肉が急に縮んで突っ張りや痛みを感じるケースが多いとされています。対して、ばね指では指の付け根に痛みがあり、曲げ伸ばしの途中で引っかかる感覚が出る傾向があります。朝方に症状が強く、日中に手を動かしていると軽くなることもあると言われています。
また、手根管症候群など神経が圧迫される状態では、親指から薬指の一部にかけてしびれや痛みが現れ、細かな物をつまみにくくなるケースもあるとされています。
見分ける際は、次のような点を確認してみましょう。
- 指が突然強く縮んだのか
- 曲げ伸ばしの途中で引っかかるのか
- しびれや感覚の鈍さが続いているのか
- 指の付け根に腫れや痛みがあるのか
一度だけ手指がつり、短時間で落ち着いた場合は、手の使いすぎなど一時的な負担が関係している可能性もあります。一方で、何度も繰り返す場合や、しびれ・腫れ・握りにくさなどを伴うときは、自己判断だけで済ませず、医療機関へ相談することが大切だと言われています。
引用元:日本整形外科学会「ばね指(弾発指)」
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/snapping_finger.html
引用元:日本整形外科学会「手根管症候群」
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/carpal_tunnel_syndrome.html
手指がつる主な原因
手指がつる原因は、一つだけとは限りません。
「スマートフォンを長く触った日に起こった」
「水分をあまり取っていなかった」
「寒い場所にいたら指が動かしにくくなった」
このように、症状が現れるまでの状況は人によって異なります。手指の使いすぎだけでなく、水分や電解質の不足、冷え、姿勢など、いくつかの条件が重なって起こる場合もあると言われています。
また、何度も繰り返す場合には、薬の影響や神経・代謝に関係する病気が隠れている可能性も否定できません。
ここでは、手指がつるときに考えられる主な原因を順番に見ていきましょう。
スマホやパソコン、家事などによる手指の使いすぎ
「仕事中は何ともなかったのに、夜になって指がつった」
そのような場合は、日中に手指を使い続けたことが関係している可能性があります。
スマートフォンの操作、パソコンのタイピング、料理、洗濯、裁縫など、日常生活の中には指を細かく動かす場面が数多くあります。どの動作も一回だけであれば大きな負担になりにくいものの、同じ動きを長時間繰り返すと、指や手のひら、前腕の筋肉が疲れやすくなると言われています。
特にスマートフォンでは、端末を小指で支えながら親指だけを何度も動かす使い方になりがちです。パソコン作業でも、手首を浮かせたままキーボードを打ったり、マウスを強く握り続けたりすると、手指から前腕まで力が入りやすくなります。
「指しか動かしていないから、それほど疲れていないのでは?」
そう思うかもしれません。しかし、指を曲げたり伸ばしたりする筋肉の多くは、手のひらから前腕にかけて存在しています。そのため、手指を繰り返し使うことで前腕の筋肉まで疲れ、手指がつるきっかけになる場合があると言われています。
筋肉のけいれんは、運動中だけでなく、使った筋肉に運動後数時間以内に現れる場合もあるとされています。ここでいう運動はスポーツだけではありません。工具を握る仕事、重い鍋を持つ調理、雑巾を絞る掃除なども、手指や前腕にとっては連続した筋肉の活動になります。
参考記事でも、筋肉への負担や生活習慣が、指のつりに関係する要素として紹介されています。足の指についての内容ではありますが、筋肉を繰り返し使った後につりやすくなるという考え方は、手指にも共通する部分があると言われています。
引用元:MSDマニュアル「筋痙攣」
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/07-神経疾患/神経疾患の症状/筋痙攣
引用元:中外製薬「筋肉|からだとくすりのはなし」
https://www.chugai-pharm.co.jp/ptn/medicine/karada/karada020.html
引用元:薮下整骨院「足の指がつる原因は何?症状の原因と予防法を紹介」
水分不足や電解質バランスの乱れ
手指がつる原因として、水分不足や電解質バランスの乱れも挙げられています。
電解質とは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど、体内で水分量の調整や神経・筋肉の働きに関わる成分です。筋肉が縮んだり緩んだりするときにも、これらの成分が関係していると言われています。
汗をたくさんかいたときには、水分だけでなく塩分などの電解質も体の外へ出ていきます。その状態で補給が追いつかないと、筋肉の動きを調整するバランスが乱れ、けいれんが起こりやすくなる場合があるとされています。
「夏ではないから、水分不足は関係ないですよね?」
実は、脱水は暑い季節だけに起こるものではありません。冬場は喉の渇きを感じにくく、暖房の効いた部屋で過ごすことで、知らないうちに水分が不足している場合もあります。
また、仕事に集中していると、朝からほとんど飲み物を口にしていなかったということもあるでしょう。入浴後や飲酒した翌日、発熱、下痢、嘔吐があったときなども、体内の水分や電解質が失われやすいと言われています。
ただし、「手指がつるからマグネシウムを大量に取ればよい」と自己判断するのはおすすめできません。電解質の不足が原因とは限らず、サプリメントなどを過剰に摂取すると、かえって体へ負担がかかる可能性もあります。
普段の食事と水分補給を振り返りながら、症状が続く場合は医療機関へ相談することが大切だと言われています。
引用元:厚生労働省「熱中症」
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/yougo/yougo09_1.html
引用元:MSDマニュアル「筋痙攣」
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/07-神経疾患/神経疾患の症状/筋痙攣
引用元:薮下整骨院「足の指がつる原因は何?症状の原因と予防法を紹介」
冷えや血行不良による筋肉の緊張
冬の屋外や冷房の効いた部屋で過ごした後に、手指がつることはないでしょうか。
手指が冷えると、動かし始めにこわばりを感じたり、細かい作業がしづらくなったりすることがあります。寒さを感じた体は熱を逃がさないように皮膚の細い血管を収縮させるため、指先へ流れる温かい血液が少なくなりやすいと言われています。
さらに、寒いときは無意識に肩をすくめたり、手を強く握ったりしがちです。こうした状態が続くと、手指や前腕の筋肉に余計な力が入り、動きが硬くなる場合があります。
「冷えたら必ず手指がつるということですか?」
そうとは限りません。冷えだけが直接的な原因になると断定することはできず、手の使いすぎや水分不足など、別の条件が重なっている場合もあります。
参考記事では、寒い時期は体が冷えることで筋肉の動きが鈍くなり、指がつりやすい状態になる可能性があると説明されています。
なお、寒い場所で指が白色や紫色に変わる、温めると赤くなる、強い冷感やしびれを繰り返す場合には、単なる筋肉のつりではなく、寒冷刺激によって手指の血管が収縮するレイノー症候群なども考えられると言われています。色の変化を伴う場合は、症状が出たときの写真を残し、医療機関へ相談すると状況を伝えやすくなります。
引用元:MSDマニュアル「寒冷障害の概要」
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/外傷と中毒/寒冷障害/寒冷障害の概要
引用元:MSDマニュアル「レイノー症候群」
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/04-心血管疾患/末梢動脈疾患/レイノー症候群
引用元:薮下整骨院「足の指がつる原因は何?症状の原因と予防法を紹介」
姿勢の乱れや手首・前腕への負担
手指がつると、指だけに原因があると考えやすいものです。しかし、パソコンやスマートフォンを使うときの姿勢が、手首や前腕への負担につながっている場合もあります。
たとえば、パソコンの画面をのぞき込むような姿勢になると、頭が前へ出て、肩や首に力が入りやすくなります。そこから肘、前腕、手首まで緊張が続けば、手指を動かす筋肉も休みにくくなるでしょう。
また、キーボードの位置が高すぎると手首を反らしやすくなり、低すぎると背中を丸めて作業しがちです。机の角に手首を押しつけたまま入力したり、肘を浮かせてマウスを操作したりする姿勢も、前腕への負担を増やす可能性があると言われています。
「姿勢が悪いだけで、手指がつるのでしょうか?」
姿勢だけが原因とは言い切れません。ただし、同じ姿勢のまま手指を使い続けると、特定の筋肉に負担が集中しやすくなります。筋肉の疲れ、冷え、休憩不足などが重なることで、手指がつるきっかけになる可能性は考えられます。
注意したいのは、首や手首周辺で神経が圧迫されているケースです。頚椎症性神経根症では肩から腕の痛みや手指のしびれが現れることがあり、首を後ろへ反らせたときに症状が強くなる場合もあると言われています。
このような神経症状を「手指がつった」と感じる方もいるため、筋肉の収縮だけなのか、しびれや感覚の鈍さもあるのかを確認することが大切です。
指が勝手に縮むだけでなく、首や肩から腕にかけて痛む、物を落とす、ボタンを留めにくいといった変化がある場合は、自己判断せず医療機関へ相談することが大切だと言われています。
引用元:日本整形外科学会「頚椎症性神経根症」
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/cervical_radiculopathy.html
引用元:日本整形外科学会「頚椎症性脊髄症」
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/cervical_spondylotic_myelopathy.html
薬の影響や神経・代謝に関係する病気
手指のつりが何度も続くときは、使いすぎや水分不足だけでは説明できない場合があります。
筋肉のけいれんには、一部の薬や神経の病気、代謝・ホルモンに関係する病気が影響する場合もあると言われています。MSDマニュアルでは、利尿薬、一部の気管支拡張薬、血圧に関係する薬などが、筋肉のけいれんに関係する可能性のある薬として挙げられています。
ただし、薬を飲んだ後に手指がつったからといって、その薬が原因とは限りません。
「薬のせいかもしれないから、今日から飲むのをやめよう」
このように自己判断で中止するのは避けましょう。急に薬を止めると、もともとの病気に影響したり、別の症状が現れたりする可能性があります。薬を飲み始めてから症状が増えたと感じる場合は、薬の名前や飲み始めた時期を記録し、処方した医師や薬剤師へ相談してください。
代謝に関係するものとしては、血液中のカリウム、マグネシウム、カルシウムなどが低下した状態や、甲状腺機能低下症などが筋肉のけいれんに関わる場合があると言われています。
また、首から腕へ伸びる神経や、肘・手首を通る神経が圧迫されると、手指のしびれ、力の入りにくさ、細かな動作のしづらさが現れる場合もあります。小指と薬指の一部に症状が出る尺骨神経の障害や、親指から薬指側にしびれが出やすい手根管症候群などが知られています。
一度手指がつっただけで、すぐに病気を心配する必要はありません。とはいえ、次のような状態がある場合は、医療機関への相談を検討することが大切だと言われています。
- 手指のつりを何度も繰り返す
- しびれや感覚の鈍さが残る
- 物を落とすことが増えた
- 手だけでなく、ほかの部位もつる
- 指の色が白色や紫色に変わる
- 服用している薬が変わってから症状が始まった
手指がつる原因は、日常的な疲れから病気の影響まで幅があります。症状が起きた時間、直前に行っていた作業、服用している薬、しびれの有無などを記録しておくと、原因を考える手がかりになるでしょう。
引用元:MSDマニュアル「筋痙攣と関連のある主な薬物、疾患、その他の病態」
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/multimedia/table/筋痙攣と関連のある主な薬物疾患その他の病態
引用元:日本整形外科学会「しびれ(上肢のしびれ)」
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/paralysis_of_arm.html
引用元:日本整形外科学会「尺骨神経麻痺」
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/ulnar_nerve_palsy.html
手指がつったときに行いたい対処法
手指が急につると、指が自分の意思とは関係なく曲がり、思わず反対の手で強く引っ張りたくなるかもしれません。
「早く元の位置に戻さないと」
「力を入れて伸ばしたほうがよいのでは?」
このように焦ってしまいますが、勢いをつけて動かすと、筋肉や腱に余計な負担がかかる可能性があります。
筋肉のけいれんが起きたときは、つっている筋肉をゆっくり伸ばしたり、やさしくほぐしたりすることで、痛みが和らぐ場合があると言われています。温かいタオルや入浴などで筋肉を温める方法も、状態によっては役立つとされています。
ただし、手指の痛みや動かしにくさが、すべて一時的な筋肉のけいれんとは限りません。無理に動かさず、まずは落ち着いて状態を確認することが大切です。
作業を止めて手指の力を抜く
手指がつったときは、まず行っている作業を止めましょう。
スマートフォンを持っていた場合は机などに置き、パソコン作業中であればキーボードやマウスから手を離します。包丁や工具などを使っている最中なら、安全な場所へ置いてから手を休ませてください。
「動かしたほうが早く改善するのでは?」
そう感じるかもしれません。しかし、指がつったまま作業を続けると、無意識に別の指や手首へ力を入れ、かえって手全体が緊張してしまう場合があります。
指を無理に開こうとせず、肩と肘の力も一緒に抜くことがポイントです。椅子に座れる場合は、前腕を机や太ももの上に置くと、腕の重さを支えなくてよくなります。
そのうえで、ゆっくり呼吸をしながら、どの指がどの方向につっているのか確認してみましょう。
手指が内側へ曲がっているのか、親指だけが手のひらへ引き込まれているのかによって、伸ばす方向は変わります。痛みが強い間は焦って動かさず、筋肉の緊張が少し落ち着くのを待つことも大切だと言われています。
参考記事でも、指がつった際には無理に動かさず、筋肉をゆっくり伸ばすことが対処法として紹介されています。足の指についての内容ですが、力任せに動かすのではなく、落ち着いて筋肉を緩めるという考え方は、手指がつる場合にも共通すると考えられます。
引用元:MSDマニュアル「筋肉のけいれん」
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/09-脳-脊髄-末梢神経の病気/脳-脊髄-末梢神経の病気の症状/筋肉のけいれん
引用元:薮下整骨院「足の指がつる原因は何?症状の原因と予防法を紹介」
つった方向と反対側へゆっくり伸ばす
手指の力を抜いたら、つっている筋肉をゆっくり伸ばします。
一般的に筋肉のけいれんは、縮んでいる筋肉を伸ばすことで和らぐ場合があると言われています。MSDマニュアルやMayo Clinicでも、筋肉がつったときの対応として、無理のないストレッチが挙げられています。
たとえば、指が手のひら側へ曲がった状態でつっている場合は、反対の手で指を支えながら、手の甲側へ少しずつ伸ばします。
反対に、指が反るようにつっている場合は、無理にさらに反らさず、自然な位置へゆっくり戻していきましょう。
このときに大切なのは、一気に伸ばさないことです。
「痛いけれど、我慢して伸ばしたほうがよいですか?」
強い痛みを我慢する必要はありません。筋肉が軽く伸びていると感じる位置で止め、呼吸を続けながら数秒待ちます。緊張が少し緩んできたら、もう一段階だけゆっくり動かしてみてください。
指先だけを強くつかむのではなく、指の付け根に近い部分も支えると、関節へ負担を集中させにくくなります。複数の指が同時につっている場合は、まとめて強く開かず、動かせる指から少しずつ戻していきましょう。
ただし、指の付け根に強い痛みや腫れがある場合、転倒や衝突の後に動かしにくくなった場合は、単なる手指のつりではない可能性もあります。そのようなときはストレッチを続けず、医療機関への相談が必要だと言われています。
引用元:MSDマニュアル「筋痙攣」
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/07-神経疾患/神経疾患の症状/筋痙攣
引用元:Mayo Clinic「Muscle cramp―Diagnosis and treatment」
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/muscle-cramp/diagnosis-treatment/drc-20350825
手のひらや前腕をやさしくほぐす
指をゆっくり伸ばしても突っ張る感覚が残る場合は、手のひらや前腕をやさしくほぐしてみましょう。
指を曲げ伸ばしする筋肉の多くは、手のひらだけでなく前腕にもあります。そのため、手指がつっているときに、前腕まで硬く張っている場合も考えられます。
「指が痛いのに、腕もほぐすのですか?」
手指だけを集中的に揉むよりも、手のひらから前腕へ広い範囲を確認したほうが、負担がかかっている場所に気づきやすくなります。
まず、反対側の手の親指で、つっている手のひらをゆっくり押してみてください。強く押し込むのではなく、皮膚を軽く動かす程度から始めます。
次に、手首から肘へ向かって、前腕を反対側の手で包み込むように触れていきましょう。硬く感じる場所があっても、一点を強く押し続ける必要はありません。手のひら全体を使い、ゆっくりなでるようにほぐします。
筋肉のけいれんに対しては、軽いマッサージによって一時的に痛みが和らぐ場合があると言われています。NHSやMayo Clinicでも、つっている筋肉をストレッチし、やさしく揉む方法が紹介されています。
一方で、触れただけでも強く痛む、手首や指が腫れている、赤みや熱っぽさがある場合は、無理にほぐさないほうがよいでしょう。手指のつり以外の問題が起きている可能性もあるため、状態が続く場合は医療機関へ相談することが大切だと言われています。
引用元:NHS「Leg cramps」
https://www.nhs.uk/conditions/leg-cramps/
引用元:Mayo Clinic「Muscle cramp―Diagnosis and treatment」
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/muscle-cramp/diagnosis-treatment/drc-20350825
引用元:中外製薬「筋肉|からだとくすりのはなし」
https://www.chugai-pharm.co.jp/ptn/medicine/karada/karada020.html
冷えている場合は無理のない範囲で温める
手指が冷えていると感じる場合は、無理のない範囲で温める方法もあります。
MSDマニュアルでは、温かいタオルや温熱パッド、入浴、温水シャワーなどの温熱が、筋肉のけいれんに伴う痛みを和らげる場合があると説明されています。Mayo Clinicでも、緊張した筋肉に温かいタオルなどを使用する方法が紹介されています。
自宅で行う場合は、熱すぎない蒸しタオルを手のひらや前腕に当てる方法があります。お湯を使うときも、最初から熱い温度にせず、心地よいと感じる程度に調整してください。
「早く温めたいので、熱いお湯に入れてもよいですか?」
指先の感覚が鈍くなっていると、お湯の熱さに気づきにくい場合があります。やけどを防ぐためにも、つっていない側の手や温度計で温度を確かめてから使いましょう。
カイロや温熱器具を使う場合は、肌へ直接当て続けるのではなく、布の上から使用します。同じ場所を長時間温め続けることも避けてください。
なお、手指が白色や紫色に変わっている、強いしびれがある、腫れや熱感を伴っている場合は、単なる冷えによる手指のつりとは限りません。症状が長引く場合や何度も繰り返す場合は、自己判断だけで温め続けず、医療機関へ相談することが大切だと言われています。
引用元:MSDマニュアル「筋痙攣」
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/07-神経疾患/神経疾患の症状/筋痙攣
引用元:Mayo Clinic「Muscle cramp―Diagnosis and treatment」
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/muscle-cramp/diagnosis-treatment/drc-20350825
強く引っ張る・激しく揉むなどの対処は避ける
手指がつると、痛みから逃れようとして、指を勢いよく引っ張ったり、硬くなった部分を強く揉んだりしたくなるかもしれません。
しかし、急に強い力を加えると、指の関節や筋肉、腱に余計な負担がかかる可能性があります。手指は細かな関節や腱が集まっているため、「痛いほど伸ばせば早く改善する」とは限りません。
筋肉のけいれんへの対応として紹介されているのは、一般的に、つっている筋肉をゆっくり伸ばし、やさしく揉む方法です。強く引っ張ることや、激しいマッサージがすすめられているわけではありません。
「指を鳴らせば元に戻りますか?」
「何度も曲げ伸ばしすればよいでしょうか?」
指を鳴らしたり、反動をつけて何度も動かしたりする必要はありません。痛みが増える動作は中止し、手指を楽な位置で休ませましょう。
また、つった直後に冷水と熱いお湯へ交互に入れる、強い振動を与える器具を使う、自己判断で大量のサプリメントや薬を飲むといった対処も避けたほうがよいと考えられます。
手指のつりが数分たっても落ち着かない場合や、次のような症状を伴う場合は、筋肉のけいれん以外の可能性も考えられます。
- しびれや感覚の鈍さが続いている
- 指や手首が大きく腫れている
- 指の色が白色や紫色へ変化している
- 手に力が入らず、物を持てない
- 転倒や衝突の後から動かしにくい
- 手指だけでなく、腕や顔にも動かしにくさがある
特に、片側の手足に突然力が入らない、顔の片側がゆがむ、言葉が出しづらいといった症状がある場合は、通常の手指のつりとして様子を見ず、速やかに救急要請を検討する必要があると言われています。
その場では無理に改善させようとせず、痛みが増えない範囲でゆっくり対応することが大切です。
引用元:MSDマニュアル「筋肉のけいれん」
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/09-脳-脊髄-末梢神経の病気/脳-脊髄-末梢神経の病気の症状/筋肉のけいれん
引用元:Mayo Clinic「Muscle cramp―Diagnosis and treatment」
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/muscle-cramp/diagnosis-treatment/drc-20350825
引用元:NHS「Leg cramps」
https://www.nhs.uk/conditions/leg-cramps/
手指が何度もつる場合に考えられる病気と来院目安
スマートフォンを長時間使った日や、手を冷やした後に一度だけ手指がつったのであれば、一時的な筋肉の疲れなどが関係している可能性があります。
しかし、手指がつる状態を何度も繰り返す場合や、しびれ・痛み・握力低下などを伴うときは、単なる使いすぎだけではないケースもあると言われています。
「またつったけれど、少し待てば落ち着くから大丈夫」
「指が動くなら、病院へ行かなくてもよいのでは?」
そう考えて様子を見たくなるかもしれません。ただし、神経が圧迫されている場合や、糖尿病、甲状腺など体全体の状態が関係している場合には、手指以外の症状が一緒に現れることもあるとされています。
手指がつった回数だけではなく、どの指に起こるのか、しびれが残るのか、物を握りづらくなっていないかなども確認してみましょう。
手首や首などで神経が圧迫されているケース
手指を動かすための神経は、首から腕を通り、手首や指先まで伸びています。その途中で神経が圧迫されたり刺激されたりすると、手指のしびれや痛み、力の入りにくさなどが現れる場合があると言われています。
手首で神経が圧迫される代表的な状態の一つが、手根管症候群です。
手根管症候群では、主に親指、人差し指、中指、薬指の親指側にしびれや痛みが現れやすいとされています。症状が進むと、親指の付け根の筋力が低下し、細かな物をつまみにくくなる場合もあると言われています。
「小指と薬指がつるような感じがするのですが、同じものですか?」
小指と薬指の小指側にしびれが出る場合は、肘の内側などで尺骨神経が圧迫される肘部管症候群が関係している可能性もあります。肘部管症候群では、初期に小指と薬指の一部がしびれ、進行すると手の筋肉がやせたり、細かな動作がしづらくなったりすることがあると言われています。
また、首にある神経の通り道が狭くなると、肩から腕、手指にかけて痛みやしびれが現れる場合があります。頚椎症性神経根症では、首を後ろへ反らしたときに症状が強くなったり、腕に力が入りにくくなったりするケースもあるとされています。
手指がつるだけでなく、次のような状態がある場合は、神経への負担も確認したほうがよいと言われています。
- 特定の指にしびれが続いている
- 首や肩から腕にかけて痛みがある
- 親指と人差し指で物をつまみにくい
- ボタンを留めるなどの細かな作業がしづらい
- 物を持っていると、手から落としてしまう
どの指に症状があるかによって、負担がかかっている神経を考える手がかりになる場合があります。症状が出た範囲を覚えておくと、医療機関へ相談するときに説明しやすくなるでしょう。
引用元:日本整形外科学会「しびれ(上肢のしびれ)」
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/paralysis_of_arm.html
引用元:日本整形外科学会「手根管症候群」
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/carpal_tunnel_syndrome.html
引用元:日本整形外科学会「頚椎症性神経根症」
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/cervical_radiculopathy.html
糖尿病や甲状腺など体の状態が関係するケース
手指が何度もつる場合は、筋肉や神経だけでなく、体全体の状態が関係している可能性もあります。
たとえば、糖尿病では、高い血糖値の状態が長く続くことで末梢神経が障害され、しびれ、痛み、感覚の鈍さなどが現れることがあると言われています。糖尿病性神経障害は足先から症状が始まるケースが多いものの、状態が進むと手指にも感覚の変化が現れる場合があるとされています。
「手指がつるだけで、糖尿病だと考えるべきでしょうか?」
手指がつるという症状だけで、糖尿病が関係しているとは判断できません。糖尿病性神経障害では、つる感覚のほかに、両手足のしびれ、感覚の鈍さ、冷感、ほてりなどを伴うことがあると言われています。
喉が異常に渇く、尿の回数が増えた、体重が急に変化したといった別の症状がある場合は、内科へ相談する材料になるでしょう。
また、甲状腺ホルモンの状態が変化すると、筋肉のこわばりや筋力低下、手指の震えなどが現れる場合もあると言われています。
甲状腺ホルモンが少なくなる状態では、疲れやすさ、寒がり、むくみ、体重の増加、便秘、筋肉痛、筋肉のこわばりなどが現れることがあるとされています。一方、甲状腺ホルモンが多くなる状態では、動悸、多汗、体重減少、手指の震え、筋力低下などを伴う場合があります。
手指がつる原因としては、ほかにも血液中のカルシウム、カリウム、マグネシウムなどの状態や、腎臓・肝臓に関係する問題、一部の薬の影響などが考えられると言われています。
ただし、症状だけを見て自分で病名を決めることはできません。サプリメントを大量に取ったり、服用中の薬を自己判断で止めたりせず、気になる変化を医師や薬剤師へ伝えることが大切です。
引用元:日本糖尿病学会「糖尿病性神経障害」
https://www.jds.or.jp/uploads/files/publications/gl2024/10.pdf
引用元:日本糖尿病学会「糖尿病合併症について」
https://www.jds.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=3
引用元:あすか製薬「見逃さないで!甲状腺の病気を知ろう」
https://www.aska-pharma.co.jp/mint/womanhealth/koujyousen/
痛み・しびれ・握力低下を伴う場合は早めに相談する
手指が一時的につり、数分ほどで動かしやすくなり、その後に痛みやしびれが残らない場合は、手の使いすぎなどが関係している可能性があります。
一方で、手指がつる状態に加えて、痛み・しびれ・握力低下が続く場合は、早めに医療機関へ相談することが大切だと言われています。
特に確認したいのは、「以前は問題なくできていた動作がしづらくなっていないか」という点です。
たとえば、次のような変化はないでしょうか。
- ペットボトルのふたを開けづらくなった
- 箸やペンを落とすことが増えた
- ボタンを留めるのに時間がかかる
- 鍵を回すときに力が入らない
- タオルを絞りにくくなった
- 指先の感覚が鈍く、細かな物をつまみにくい
握力低下や細かな動作のしづらさは、手首・肘・首などで神経が圧迫された場合にも現れることがあると言われています。頚椎症性神経根症では上肢の筋力低下や感覚障害、尺骨神経の障害では手指の細かな動作がしづらくなるケースがあるとされています。
「痛みがそれほど強くなければ、しばらく様子を見てもよいですか?」
痛みの強さだけで緊急性を判断するのは難しいところです。強い痛みがなくても、しびれの範囲が広がっている、握力が少しずつ低下している、手の筋肉がやせてきたといった変化がある場合は、神経への負担が続いている可能性もあります。
また、症状が右手だけなのか両手なのか、同じ指に繰り返すのかによっても考え方が変わります。
医療機関へ相談するときは、次の内容を伝えられるようにしておくとよいでしょう。
- いつごろから症状が始まったか
- どの指がどの方向につるのか
- 症状が続く時間と回数
- しびれや痛みを感じる範囲
- 首や肩、腕にも症状があるか
- 服用している薬があるか
- 日常生活でしづらくなった動作
手指がつっている最中の形や、指の色に変化がある場合は、可能であれば写真を残しておく方法もあります。
引用元:日本整形外科学会「しびれ(上肢のしびれ)」
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/paralysis_of_arm.html
引用元:日本整形外科学会「尺骨神経麻痺」
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/ulnar_nerve_palsy.html
引用元:日本整形外科学会「頚椎症性神経根症」
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/cervical_radiculopathy.html
来院するなら整形外科・内科のどちらがよい?
手指が何度もつるときに迷いやすいのが、どの診療科へ相談するかという点です。
「指の症状だから整形外科ですか?」
「水分や栄養の問題かもしれないので、内科でしょうか?」
基本的には、手指・手首・肘・首などの痛みやしびれ、動かしづらさを伴う場合は、整形外科が相談先の一つになります。
整形外科は、骨や関節だけでなく、筋肉、腱、靱帯、手足を動かす神経などの運動器を扱う診療科です。手指、手首、肘、肩、首に関係する症状も対象になると言われています。
次のような場合は、整形外科への来院を検討するとよいでしょう。
- 指や手首を使った後につりやすい
- 首や肩から腕に痛みが広がっている
- 特定の指にしびれが続いている
- 指を曲げ伸ばしすると引っかかる
- 握力が低下している
- 手首や肘の位置によって症状が変わる
一方、両手足につりやしびれがある、全身のだるさやむくみを伴う、喉の渇きや尿の回数が気になる、体重が大きく変化したといった場合は、内科への相談が選択肢になります。
内科では、血糖値や電解質、甲状腺など、体全体の状態が関係していないかを確認するための検査につながる場合があります。
また、両手足のしびれが続く、手足の感覚が広い範囲で変化しているなど、神経そのものの病気が疑われる場合は、脳神経内科を案内されることもあるでしょう。
最初から自分で診療科を正確に選べなくても問題はありません。症状の中心が手指・手首・首にある場合は整形外科、全身症状や持病との関係が気になる場合は内科を一つの目安にしてください。
どちらへ行くか判断しづらい場合は、かかりつけ医や医療機関の相談窓口へ連絡し、症状を伝えて確認する方法もあります。
引用元:日本整形外科学会「整形外科と形成外科」
https://www.joa.or.jp/public/about/plastic_surgery.html
引用元:日本整形外科学会「整形外科とは」
https://www.joa.or.jp/edu/peculiarity/peculiarity_01.html
引用元:日本整形外科学会「しびれ(病気によるもの)」
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/paralysis.html
突然の麻痺や言葉の異常がある場合は救急要請を検討する
手指がつったように感じても、突然片方の手に力が入らなくなった場合は注意が必要です。
脳卒中では、顔の片側がゆがむ、片側の腕や手に力が入らない、ろれつが回らない、言葉が出ないといった症状が突然現れることがあると言われています。これらの症状が一つでも突然起きた場合は、すぐに救急車を呼ぶことが推奨されています。
確認するときは、「FAST」と呼ばれるポイントが参考になります。
- Face:笑ったときに顔の片側が下がっていないか
- Arm:両腕を上げたときに片方が下がってこないか
- Speech:ろれつが回らない、言葉が出ない状態ではないか
- Time:一つでも当てはまれば、すぐに救急要請を検討する
「数分で動くようになったので、もう大丈夫ですよね?」
症状が一度落ち着いた場合でも、自己判断で様子を見ないほうがよいと言われています。一時的に脳の血流が悪くなり、その後に大きな脳卒中へ進む可能性もあるためです。日本脳卒中協会では、脳卒中が疑われる症状があれば、すぐに救急車を呼ぶよう案内しています。
次のような症状が突然現れた場合は、通常の手指のつりとして扱わないようにしましょう。
- 片側の手や足に力が入らない
- 顔の片側がゆがんでいる
- ろれつが回らない
- 言葉が出ない、会話を理解しづらい
- 突然立てなくなった、まっすぐ歩けない
- 片方の目が見えにくい、物が二重に見える
- 経験したことのない激しい頭痛がある
救急車を待つ間は、自分で車を運転して移動せず、症状が始まった時刻を確認しておくことが大切です。脳卒中は、症状が始まってから速やかに専門的な医療へつながる必要があると言われています。
手指がつっただけなのか、麻痺によって動かせないのか、自分では判断しづらい場合もあります。普段と明らかに違う動かしにくさや言葉の異常を伴うときは、迷わず救急要請を検討してください。
引用元:公益社団法人 日本脳卒中協会「脳卒中の主な症状」
引用元:厚生労働省「ACT-FASTが重要 一分一秒でも早く治療を」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou_kouhou/kouhou_shuppan/magazine/202410_006.html
引用元:公益社団法人 日本脳卒中協会「動画で学ぶ脳卒中」
手指がつるのを予防するための生活習慣
手指がつる症状は、ある日突然現れるように感じます。しかし、症状が起きる前の生活を振り返ってみると、長時間のスマートフォン操作やパソコン作業、水分不足、手指の冷えなど、いくつかのきっかけが重なっている場合もあると言われています。
「一度つっただけなら、特に何もしなくてもよいですか?」
「また起きないように、普段からできることはありますか?」
手指がつる原因は人によって異なるため、特定の方法を行えば必ず予防できるとは言い切れません。それでも、手指や前腕に負担をためないこと、こまめに水分を取ること、冷えを避けることなどは、日常生活の中で取り組みやすい対策です。
症状が起きてから慌てるのではなく、普段の過ごし方を少しずつ見直していきましょう。
長時間のスマホ・パソコン作業では休憩を挟む
スマートフォンやパソコンを使用していると、気づかないうちに指を何百回、何千回と動かしていることがあります。
文字を入力する、画面をスクロールする、マウスを操作するといった動作は、一回ごとの負担が小さいため、疲れを自覚しづらいものです。しかし、同じ動作を長時間続ければ、指や手のひら、前腕にある筋肉が休みにくくなると言われています。
「仕事なので、パソコンを使わないわけにはいきません」
そのような場合は、使用時間をゼロにする必要はありません。大切なのは、一つの姿勢や動作を長く続けないことです。
厚生労働省の情報機器作業に関するガイドラインでは、連続作業が1時間を超えないようにし、次の作業までに10~15分程度の作業休止時間を設ける考え方が示されています。また、連続作業の途中にも、1~2回程度の小休止を設けることが望ましいとされています。これは職場での情報機器作業を対象とした目安ですが、自宅でスマートフォンやパソコンを使う場合にも参考になるでしょう。
休憩中に別の画面を見るだけでは、手指が休めていない場合があります。スマートフォンを置き、手を膝の上へ下ろしたり、立ち上がって肩や肘を動かしたりしてみてください。
パソコン作業では、次のような点も意識するとよいでしょう。
- キーボードやマウスを強く握らない
- 手首を大きく反らせたまま入力しない
- 肘や前腕を無理のない位置で支える
- 肩をすくめず、力を抜いて作業する
- スマートフォンを小指だけで支え続けない
「どのくらい作業したか、いつも忘れてしまいます」
その場合は、タイマーを設定したり、飲み物を取りに行く時間を休憩の合図にしたりする方法がおすすめです。まとまった休憩が難しくても、数十秒手を離すだけで、同じ筋肉を使い続ける時間を区切ることができます。
参考記事でも、指のつりを予防するためには、筋肉に疲れをためないことが大切だと説明されています。足の指を対象とした内容ですが、同じ部位を使い続けず、適度に休ませるという考え方は手指にも共通すると考えられます。
引用元:厚生労働省「情報機器作業」
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/yougo/yougo30_1.html
引用元:岡山産業保健総合支援センター「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」
引用元:薮下整骨院「足の指がつる原因は何?症状の原因と予防法を紹介」
指・手首・前腕を無理なくストレッチする
長時間の作業が終わった後は、指だけでなく、手首や前腕まで無理なく動かしてみましょう。
指を曲げる筋肉の多くは前腕にあり、そこから伸びる腱が手首や手のひらを通って指につながっています。そのため、手指が疲れているときには、前腕にも張りや重さを感じる場合があると言われています。
「どのように伸ばせばよいのでしょうか?」
次のような方法があります。
まず、片方の腕を胸の前へ伸ばし、手のひらを上に向けます。反対側の手で指先を支え、手首を下へ倒すようにして、手のひら側から前腕をゆっくり伸ばしてください。
次に、手のひらを下へ向け、指先を自分のほうへ軽く引きます。今度は、手の甲から前腕の外側にかけて伸びる感覚を確認しましょう。
どちらも肘を完全に固定する必要はありません。痛みが出ない範囲で行い、「少し伸びて気持ちよい」と感じる位置で止めます。
日本整形外科学会でも、手をよく使うことで起こる肘周辺の症状への対応として、手首や指のストレッチをこまめに行う方法が紹介されています。ストレッチにはさまざまな目的がありますが、手指や前腕を同じ位置で使い続けないための習慣として取り入れられるでしょう。
ただし、勢いをつけて反動を加えたり、痛みを我慢して強く伸ばしたりするのは避けてください。筋肉や腱を痛めている場合には、ストレッチによって負担が増える可能性もあると言われています。
次のような状態があるときは、ストレッチを中止しましょう。
- 指や手首が腫れている
- 触れただけでも強く痛む
- 転倒や衝突の後から動かしづらい
- 指の付け根に引っかかりがある
- しびれや感覚の鈍さが強くなる
ストレッチは、回数を多く行うことより、無理なく続けることが大切です。仕事の前後や入浴後など、自分が忘れにくい時間に取り入れてみてください。
引用元:日本整形外科学会「指の屈筋腱損傷」
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/flexor.html
引用元:日本整形外科学会「テニス肘(上腕骨外側上顆炎)」
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/lateral_epicondylitis.html
引用元:Mayo Clinic「Stretching: Focus on flexibility」
https://www.mayoclinic.org/healthy-lifestyle/fitness/in-depth/stretching/art-20047931
日常的な水分補給とバランスのよい食事を意識する
水分不足や電解質バランスの乱れは、筋肉のけいれんに関係する要素の一つだと言われています。
特に暑い日や運動後は、汗と一緒に水分や塩分が失われます。厚生労働省では、熱中症を予防するため、室内や屋外を問わず、喉の渇きを感じる前からこまめに水分や塩分を補給するよう案内しています。
「手指がつらないように、一度にたくさん水を飲めばよいですか?」
一度に大量の水を飲むのではなく、食事のときや休憩時などに分けて、少しずつ取る方法が考えられます。
たとえば、次のようなタイミングを水分補給の目安にすると、習慣化しやすいでしょう。
- 起床した後
- 仕事や家事を始める前
- パソコン作業の休憩中
- 入浴の前後
- 運動や外出の前後
- 就寝する前
ただし、心臓や腎臓などの病気で水分・塩分の制限を指示されている方は、一般的な目安をそのまま当てはめず、医師の指示を優先してください。
食事については、特定の栄養素だけを意識するより、主食・主菜・副菜を組み合わせることが基本です。
厚生労働省と農林水産省が作成した食事バランスガイドでは、毎日の食事を、主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品、果物の料理グループに分けて示しています。水やお茶などの水分も、食生活に欠かせないものとして位置づけられています。
「手指がつるなら、マグネシウムを取ればよいと聞きました」
マグネシウム、カルシウム、カリウムなどは筋肉や神経の働きに関わりますが、手指がつる原因が特定の栄養素の不足とは限りません。
サプリメントを大量に取っても、症状の改善につながるとは言い切れず、体の状態や服用中の薬によっては注意が必要です。まずは、ご飯やパンなどの主食、肉・魚・卵・大豆製品などの主菜、野菜・海藻・きのこなどの副菜を組み合わせ、食事が一つの食品に偏らないよう意識しましょう。
引用元:厚生労働省「熱中症予防のために」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000212502.html
引用元:厚生労働省「食事バランスガイド(基本編)」
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/food/e-03-007
引用元:農林水産省「食事バランスガイドの適量と料理区分」
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kenzensyokuseikatsu/about_b_guide.html
入浴や防寒で手指を冷やさない
寒い季節や冷房の効いた室内では、手指が冷たくなり、動かしづらさを感じることがあります。
寒さを感じると、体は熱を逃がさないように皮膚の血管を収縮させます。そのため、手指などの末端へ流れる温かい血液が少なくなりやすいと言われています。
冷えだけが手指のつる直接的な原因になるとは限りません。しかし、筋肉の疲れや水分不足などと重なることで、手指が動かしづらくなる可能性は考えられます。
「手が冷たいときは、熱いお湯で一気に温めてもよいですか?」
熱すぎるお湯は避けましょう。指先の感覚が鈍くなっていると、お湯の熱さに気づかず、やけどにつながる可能性があります。
入浴するときは、心地よいと感じる温度で体全体を温めます。手だけを温める場合は、蒸しタオルを使ったり、ぬるめのお湯に手を入れたりする方法があります。
参考記事でも、お風呂で体を温め、冷やさないようにすることが、指のつりを予防する方法の一つとして紹介されています。ただし、温めれば必ず手指のつりを防げるというわけではなく、ほかの生活習慣と合わせて考えることが大切です。
外出時や冷房の効いた職場では、次のような工夫が取り入れやすいでしょう。
- 手袋やアームウォーマーを使用する
- 冷房の風が手へ直接当たらないようにする
- 濡れた手をそのままにしない
- 温かい飲み物を適度に取り入れる
- 休憩時に手を開いたり閉じたりする
ただし、寒さに触れると指がはっきり白色や紫色に変わる、強い痛みやしびれを繰り返すといった場合は、単なる冷えではない可能性もあると言われています。
そのような場合は、症状が現れたときの指の色を記録し、医療機関へ相談してください。
引用元:MSDマニュアル「寒冷障害の概要」
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/外傷と中毒/寒冷障害/寒冷障害の概要
引用元:薮下整骨院「足の指がつる原因は何?症状の原因と予防法を紹介」
引用元:Mayo Clinic「Muscle cramp―Diagnosis and treatment」
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/muscle-cramp/diagnosis-treatment/drc-20350825
症状が起きた時間や状況を記録する
手指が何度もつる場合は、症状が起きたときの状況を記録しておくことも大切です。
「記録するだけで予防になるのですか?」
記録そのものが筋肉のけいれんを防ぐわけではありません。しかし、症状が起きやすい時間帯や行動を振り返ることで、自分では気づいていなかった共通点が見つかる場合があります。
たとえば、次のような内容を書き残しておきましょう。
- 症状が起きた日付と時刻
- つった指と手の左右
- 指が曲がった方向
- 症状が続いた時間
- 直前に行っていた作業
- その日の水分摂取量
- 食事を抜いていなかったか
- 冷房や屋外の寒さに触れていたか
- 痛みやしびれを伴っていたか
- 服用中の薬に変更がなかったか
スマートフォンを長時間使った日に多いのであれば、使用時間や持ち方の見直しにつながります。入浴前や起床時に起きやすい場合は、冷えや水分摂取の状況を振り返るきっかけになるでしょう。
症状が現れているときの手指の形や色を写真に残す方法もあります。ただし、撮影するために無理な姿勢を続けたり、緊急性のある症状への対応を遅らせたりしないでください。
手指のつりに加えて、しびれ、痛み、握力低下などがある場合は、その変化も記載しておくと、医療機関で状態を説明しやすくなります。
特に、次のような内容は来院時に役立つ可能性があります。
- いつから繰り返しているか
- 徐々に回数が増えているか
- 同じ指だけに起こるか
- 首や肩、腕にも症状があるか
- 日常生活でしづらくなった動作があるか
- 服用している薬やサプリメント
「症状が軽いから、記録しなくても覚えていられます」
手指がつる症状は短時間で落ち着くこともあり、数日後には細かな状況を忘れてしまうかもしれません。メモ帳やカレンダーへ短く残すだけでも十分です。
記録を続けることで、手指を休めるタイミングや水分を取る時間など、自分に必要な生活習慣を考えやすくなるでしょう。
引用元:日本整形外科学会「しびれ(上肢のしびれ)」
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/paralysis_of_arm.html
引用元:Mayo Clinic「Muscle cramp―Symptoms and causes」
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/muscle-cramp/symptoms-causes/syc-20350820
手指がつるときは症状と生活習慣の両方を確認しよう
手指がつるとは、指を動かす筋肉が自分の意思とは関係なく急に縮み、力を抜きづらくなった状態を指します。
指だけに問題があるように感じますが、指を動かす筋肉の多くは手のひらや前腕にあるため、スマートフォン、パソコン、家事、仕事などによる腕全体の疲れが関係している場合もあると言われています。
そのほか、水分不足や電解質バランスの乱れ、冷え、姿勢の乱れなども、手指がつるきっかけとして考えられます。
手指がつったときは、まず作業を止めて手の力を抜きましょう。指を勢いよく引っ張るのではなく、つった方向と反対側へ少しずつ伸ばし、手のひらや前腕をやさしくほぐします。冷えている場合は、やけどに注意しながら無理のない範囲で温める方法もあります。
一度だけ短時間つった場合は、一時的な疲れなどが関係している可能性があります。しかし、何度も繰り返す場合や、しびれ・痛み・握力低下を伴うときは、手首や首での神経圧迫、糖尿病、甲状腺など体の状態が関係しているケースもあると言われています。
また、片側の手足に突然力が入らない、顔の片側がゆがむ、ろれつが回らないといった症状がある場合は、通常の手指のつりとして様子を見ないでください。脳卒中などの可能性も考えられるため、速やかな救急要請を検討する必要があります。
日常生活では、長時間のスマートフォンやパソコン作業に休憩を挟み、手指・手首・前腕を無理なく動かしましょう。こまめな水分補給、バランスのよい食事、防寒なども、体調を整えるための大切な習慣です。
さらに、症状が起きた時間や直前の行動を記録すると、自分がどのような状況で手指がつりやすいのかを振り返りやすくなります。
手指がつる原因は一つとは限りません。「疲れているだけ」と決めつけず、症状の回数や一緒に現れる変化にも目を向けることが大切です。
#手指がつる #手指のけいれん #手指のストレッチ #手指のしびれ #手指のセルフケア